Markdownは文章を書くための素晴らしい道具ですが、文章そのもの以外の情報を扱うのはあまり得意ではありません。
その弱点を補い、Markdownファイルを単なる文書からプログラムで扱えるデータへと進化させる仕組みが、今回紹介する Front Matter(フロントマター) です。
Front Matterとは何か
Front Matterとは、Markdownファイルの最上部に記述される、YAMLやJSON形式のデータブロックのことです。3つのハイフンで囲まれたエリアに、その記事のタイトル、公開日、カテゴリなどの情報を記述します。
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title: "記事のタイトル"
pubDate: 2026-01-12
tags: ["Astro", "Markdown"]
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このように、ファイルの冒頭にデータの塊を置くのが特徴です。
このように記述することで、記事の本文と、属性を記述するメタデータを明確に分離して一つのファイルに詰め込むことができます。
なぜAI時代にFront Matterが注目されるのか
Front Matterは、プログラムが情報を自動処理するための入り口です。AIエージェントを活用する現代の執筆フローにおいて、この「構造化された設定情報」を共有する役割はさらに重要になっています。
1. AIに対する「構造化された指示書」になる
AIに記事を執筆させる際、本文中に「これはタイトルです」「これはタグです」と書かせるのは非効率です。決まった枠組みがあることで、AIはどこに何を書くべきかを正確に理解し、プログラムが読み取りやすい形式で出力できます。
2. 文脈の固定
この記事がいつ、誰のために、どのような目的で書かれているかをFront Matterに明記しておくことで、AIはその文脈から外れることなく、一貫性のある文章を生成しやすくなります。
3. 自動化との相性が抜群
YAML形式は人間にとっても読みやすく、PythonやJavaScriptなどの実行環境にとっても解析が容易です。公開時に特定のタグを自動付与したり、日付に基づいてフォルダを振り分けたりといった自動化パイプラインが非常に組みやすくなります。
A3roにおけるFront Matterの活用事例
本プロジェクト「A3ro」でも、Front Matterはシステムの心臓部として機能しています。
- 公開情報の管理: 記事の公開日やタグをFront Matterへ集約しています。本文の執筆内容に干渉せず、サイト上で正確な分類や並び替えを行うために不可欠な要素です。
- メディアアセットの紐付け: アイキャッチ画像の指定に活用しています。ローカルの画像パスを記述しておくと、公開時にシステムが自動でクラウドストレージへ同期・変換する仕組みを構築しています。
- 公開前の品質検証: 必要な属性が揃っているかをLinterで自動検証し、不完全な状態での公開を未然に防いでいます。
おわりに
Front Matterは、Markdownという自由な文章の世界に規律と拡張性をもたらします。
AIエージェントは自由度が高すぎると迷走しますが、適切なレールを敷いてあげることで、その能力を最大限に引き出すことができるようになります。ドキュメント管理の効率化に、ぜひ役立ててください。